はじめに

弊社では平素、粘着付のフィルムを感圧式のラミネート機にて貼り合わせる加工を行っております。
いわゆる感圧ラミネートやコールドラミネートと呼ばれる方式ですね。
もっと簡単に申しますと、シールやステッカーを貼るようなもの。
共通しているのは前提として、「粘着」処理がなされている事です。
時折、「接着」は出来ないのかと聞かれます。
さて、ここで問題です。
皆さんは粘着と接着の言葉の意味をどれほどご理解できてますでしょうか?
実はこれを正しく説明するのって結構難しいんですね。
お客様にも正しくご理解頂けるよう、分る範囲で説明を試みたいと思います。

粘着とは?

粘着剤を英語表記にすると「Adhesive」となります。
しかし、これ実は接着剤も同じ表記なんですね。
だから厳密にいうと英語では粘着という言葉自体がないのです。
強いて言葉にすると「Pressure-sensitive Adhesive」(感圧性接着剤)となります。
要は触れて圧力をかける事ですね。
実は委託先の粘着塗工業者の方からも「粘着」という言葉は日本特有と聞いた事があります。
ここで代表的な粘着製品を羅列して考えてみましょう。
先ほど書いたシールやステッカー等、あとはガムテープや両面テープなどは勿論粘着ですね。
共通しているのはネバネバ絡んでくっつくというメカニズムです。

接着とは?

上段の粘着とあえて違いが分かるような書き方を試みてみます。
接着剤の代表を一般的な商品で書いてみます。
木工用が有名ないわゆるボンドやセメダイン、瞬間的にくっつくアロンアルファなどがそうですね。
これら接着剤の最大の特徴は接着剤自体が硬化、つまり固まって結合する事です。
固まる前の接着剤は粘度の違いこそあれ液状に近いでしょう。
もう一つ粘着と違う点は特に圧力をかける必要がない点です。
もちろんずれないように固定する事はありますが。

決定的な違いは剥がせるかどうか!?

シールやステッカーなどは離型紙という離型性のある紙やフィルムについてます。
そして実際には剥がして貼りたい対象に貼ります。
この場合、離型紙を使っているので剥がせるのはまあ当たり前ですが。
ただ、粘着力を調節して剥がせるものもあります。
再剥離粘着などがそうです。
強粘着で強くくっついても剥がす方法はあります。
だから粘着には剥がす事を想定するケースがあるんですね。
片や接着の場合はそもそも剥離する事は想定しておりません。
半永久的に固着する事が前提です。
簡単に言葉に置き換えると・・・

・粘着とは、完全に接合しない以上ある程度の剥離は覚悟の上・もしくは後々剥離させる事自体が目的の場合の接合方法。
・接着とは、硬化作用により完全に接合され剥離してはいけないもの。

となります。

まとめ

粘着剤にしろ、接着剤にしろ、それを正しく管理してフィルムのような巻物を長く塗布・塗工するにはそれなりの設備と敷地が必要になります。
残念ながら弊社は小規模な会社で、現状単独では設備できません。
ただ、粘着した巻物を貼る事自体はそれほど難しい事ではありません。(弊社では粘着した巻物に限定しておりますが。)
何より弊社はその粘着フィルムのラミネート加工に特化してまいりました。
粘着は前述したように剥離のリスクはつきものです。
ただ、正しい加工知識と手順を踏めばそうやすやす剥がれる事もありません。
それに最大のメリットは小ロット加工が出来る事です。
粘着であれば、それこそ3×6板1枚だけっていう事も可能なのです。(良品率は度外視してますが。)
離型紙・フィルムを剥離して使いたい分だけの加工が出来るからですね。
接着の場合、そもそも設備が必要ですし常温ですぐ硬化してしまうのである程度ロットがないと対応できません。
ただ、ロットさえまとまるのであれば、協力工場にて接着貼りも対応可能な場合もありますので、接着のご相談も勿論お待ちしております。