レーザー加工機を導入し、内省加工を始めます。

弊社では、かねてよりフィルム加工品の二次加工の手段としてレーザーカットも手掛けてまいりました。
ただ、従来では外部協力工場へ委託、いわゆる外注工程でした。
外部に委託する分どうしても時間的要素がかかり、レーザー加工のようなデジタルファブリック機器の長所である「スピード」を犠牲にしている側面がありました。
また、小ロットで多彩な表現が求められる市場においては、加工の表現を拡げる意味でもレーザー加工は弊社のラミネート事業とも親和性が高く、今回の内省加工化への決断と至りました。
実は、昨年12月に既に導入が済んでおりまして、ここまで試作等のトライを積み重ねてまいりました。
年度が替わるこのタイミングで、正式に発表し受注に繋げてまいりたいと考えております。

Speedy300・30Wモデル

弊社で導入した機械は、オーストリアのメーカーであるトロテック・レーザー社のSpeedy300というモデルです。
Co²方式でエントリーモデルでもある30wの出力のものを導入しました。
ワークサイズはW726×D432まで対応しております。

現時点で可能な事

Co²方式のレーザー加工機に可能な事は、レーザーカット・彫刻・マーキングの3点です。
単にこの加工だけでは、既存の加工業者と比較になってしまいます。
そこで弊社では特にフィルム加工した素材との加工に活用してまいります。
これは、非接触式のレーザーならではでもあります。
フィルムラミネート素材は、回転刃を使う切削加工と実は相性が悪かったりしました。
フィルムが毛羽立ったり裂けたり、波状に浮いてしまったり。
レーザーではこういうトラブルは起こりません。

当面は一番相性がいいアクリル素材に限定して加工を承りたいと思います。
素材は押出・キャストのどちらでも可。
厚みは最大5.0㎜厚まで。
外径のダイカットと色板を組み合わせた二層板のような要領での彫刻を主に行う予定です。

フィルムラミネート+レーザーカット

まず第一には弊社のコア事業でもあるフィルムのラミネート加工です。
透明のアクリルは勿論、白色や黒色などの色板にも加工可能です。
また、フィルムはミラー・ヘアラインは勿論のこと、そこに着色フィルムを重ねてゴールドなどの加飾も可能です。
また、ホログラムなども昨今はキャラクターグッズ作成に人気です。
市販のPETやアクリル系のフィルムであれば、レーザー加工可能です。
フィルム加工とレーザー加工で様々な表現の広がりが実現可能です。

非接触で細やかな表現が得意なレーザーカット、これで従来のトムソン型抜きでは不可能だった形状も可能となります。
細かすぎると熱の影響で表現しきれない場合もあります。
その場合はデザインやデータを修正し、可能な形状を探る必要もあります。
ミラー加工した3㎜厚の押出黒色アクリル、これを昆虫の形状にカットしてみました。
こちらはトムソンでは表現不可だった形状です。

レーザー彫刻

出力を調整し、フィルムの厚みだけ彫刻するようなイメージの加工方法です。
ここが新しいポイントで、外注工程の時は試した事がありませんでした。
実際、手元に設備があるとその場の思いつきを試す事も出来ます。
結果、創意工夫の末に彫刻のイメージも可能だという事が分りました。

押出アクリルの白色2.0㎜厚にミラーフィルム加工をした生地です。
フィルム部分を彫刻し、下地の白が現れて文字となってます。
横から見ると白地が確認いただけると思います。
ネームタグ風に仕上げてみました。

こちらは押出アクリルの黒色3.0㎜厚にミラーとゴールドヘアラインを加工し、レーザーで家紋を彫刻しました。
こちらも穴をあける事でキーホルダーや根付に使えそうです。

切文字

レーザーの事例で一番よく見かけるのが切文字ではないでしょうか?
弊社も時折切文字のお声がけを頂きます。
特にヘアラインの切文字はよく聞かれます。
そこで試しに制作してみました。
文字は弊社代表の沼田の「ぬ」で30㎜角で作成してみました。
もちろん裏面に両面テープも貼れます。
両面テープの様子が分るように離型紙を半分程剥がして写真に収めてみました。

具体的な情報

当面は前述した通り、素材をアクリルに絞り最大5㎜厚までの加工を承ります。
一応現時点では8㎜厚までは加工確認できておりますが、スペック不足により商用品質のレベルではないと判断しております。
彫刻については、まだ事例・実績が少ない状態です。
マーキング等も今後は随時試してまいりますが、現時点では未確認につき彫刻のみの対応となります。
グラデーションや写真イメージなどは彫刻では対応できません。
一色で印刷するようなイメージのデータ・図案でお願いいたします。

データ入稿・デザイン案などについて

出力はイラストレーターから行いますので、データ方式はAI形式でお願いいたします。
当方一応イラストレーターは最新のバージョン(CC)です。
dfx等のCADデータは扱えませんのでご注意下さい。
データ御支給の場合は、必ずAIで作成したデータでお願いいたします。
切文字については、必ずアウトライン済みで御支給下さい。

弊社では現時点でAIの常駐オペレーターが社内におりません。
データがなく手書きや図面からの場合も対応は可能です。
但し、外部に委託する事になりますので、実費ご負担と時間がかかる事はご了承願います。
また、デザイン修正についても同じです。
簡単な修正であれば社内で対処可能な場合もありますが、専門的なテクニックを要す場合は外部に委託いたします。

レーザー加工で目指すものとは

今回、弊社で導入した機械は出力30Wのエントリーモデルです。
商用で数をこなすワークには正直不向きです。
目安としては一個から数百個といったところが現実的です。
千個を超えるとやはり加工に時間を要するので、逆に能力のある外注に立ち戻るイメージです。
これから実績を踏み、能力不足が続くのであれば、更に上のスペックの導入を目指してまいります。
ただ、現時点では試作の域を越えない需要でしたので、身の丈に合った設備投資を行ったつもりです。

それよりも弊社の目的は単なるアクリル板のレーザー加工ではありません。
前述しましたが、弊社のコア技術であるフィルムラミネート加工との親和性をこのレーザー加工に見出しております。
実際、これまでにレーザージョブの業者様からの依頼を数多く承ってきました。
そこには明確な「差別化」の意識があります。
アクリル板にフィルムによる加飾、それによる差別化が求められているとそうひしひしと感じてまいりました。
そこで、実際にレーザーを導入し、加工する側の意識をもって、レーザー加工用の商品開発を行いたいと考えております。
ですので、ミラーやヘアライン等の加工品は勿論のこと、自分たちで加工したいという業者様のお手伝いをさせてください。
内省化しているからこそ、レーザー加工に適した加工素材を提案が可能になります。

もう少し情報を取りまとめ、加工技術や設備のページにレーザー加工の項目を近々編集する予定です。

また、既存のお客様にも周知していただくべく、加工サンプル等の準備を進めてまいります。