はじめに

今回は弊社で取り扱っているラミネート素材のなかでもとっても便利な吸着シートについて詳しくご説明してみたいと思います。
何を隠そうこの吸着シート、弊社の主力商品でもある樹脂ミラーとはとっても相性のいい素材なんです。
但し貼り合わせのアイテムというカテゴリーになるのでWebサイトの商品紹介ページには記載しておりませんでした。
何せラミネート加工品の販売が主たる目的ですので。
この商材をよく知るお客様は貼り合わせた商品ではなく吸着シートのみを求められたりしますから。
それほど便利な商材なんです。
そのからくりについては商品のスペックと共に後程詳しく説明してまいりますね。

吸着とはなんぞや?

吸着って言葉を聞くと何を想像されますでしょうか?
大体の方が吸盤を想像されませんか?
くだけた言葉にするとちょっと難しくもありますが、要は吸いつくって事じゃないでしょうか。
この吸着シートは、文字通り元はシート、フィルムの状態です。
弊社ではその裏面にアクリル系の一般強粘着加工をしたものを標準在庫しております。
樹脂ミラーやその他のラミネート樹脂板の裏側に貼りつける為です。
そうする事によって弊社のラミネート加工品に新たに「吸着」という付加価値を与える事ができるんですね。
吸盤のようにくっつく、吸いつくという特性。
その最大の特徴といいますが利点は粘着と似て非なるところでしょう。
つまり粘着ではないので剥がす際に糊残りしないという事。

吸着、そのメカニズム

それでは実際に吸着の仕組みを説明いたします。
このシートの構成ですが、ベースとなるPETフィルムにとある特殊ポリマーを発泡させてコーティングしております。
この発泡ってところがミソです。
発泡樹脂といいますとどんなものを想像されますか?
一般的にはクッションやキッチンのお皿洗いなんかに使うスポンジ状のものがメジャーかと。
スポンジ状の素材も発泡して作られてます。
穴が沢山あいている素材ですね。
ただ、一般的なスポンジなんかの場合は連続発泡とよばれる代物です。
これをシンプルに表現すると、沢山の穴が連なっているという事。
かたや、この吸着シートの場合は独立発泡とよばれる代物です。
これは沢山の穴が連結してなくてそれぞれ独立した状態にあるとう事。
この穴をツヤのある面に押し当てて真空状態にする事でそれこそ吸盤のような感じで「吸いつく」訳です。
穴と書きましたが、それはもう非常に小さなものです。
シートの表面自体はサラっとしてます。
ミクロ単位の微細な穴で、電子顕微鏡で見てようやくわかる程度です。
吸盤と同じ仕組みでくっつくので、貼り付け対象となる面はもちろんつるっとしたツヤ面に限定されます。
メーカーの資料から抜粋した写真ですが、観察しやすいようにツヤのあるガラス面に貼り付けて顕微鏡でその様子を観察したものをUPします。

弊社での採用事例と使い方

さて、この吸着シートですが弊社の樹脂ミラーと相性がいいと書きました。
その理由とはズバリ、吸着効果によって壁面にくっつける事ができるからです。
通常、鏡を壁面に取り付けるには両面テープ(粘着)か釘打ち、ねじ止めなどの方法ですね。
ただし使わなくなった時、両面テープだと剥がす際に糊残りしたり下地を破損しかねません。
釘やネジなどは下地に穴を空けないといけません。
一応ツヤ面限定ではありますが、吸着の場合はそんな心配はありません。
これってアパートやマンションなどの賃貸住宅ではとっても役立つ要素なんですね。
それでは実際に弊社の樹脂ミラー+吸着シートを壁面に貼り付けてみましょう。

この写真ではオフィスにあるスチール什器に貼り付けてます。
金属面への塗装面ですが、光沢・ツヤがあって吸着に適してます。
下地の影響で反りや歪みが感じられる事もありますが、この写真で自撮りした際は、そこそこ良好な映り込み具合でした。
次はガラス面に貼って吸着の具合を見た写真です。
貼付け編。

保護フィルムを剥がし、抑えつけながら貼ります。
この時の吸着面ですが、空気が抜けて真空になった箇所とそうでない箇所に色の違いが見てとれますね。
しっかり空気を押出し、独立発泡の穴が真空になってくつっつくという訳です。
次は剥離編。

ご覧の通り糊残りなく簡単に剥がせます。

こんなところで使えます

適応する面については吸盤なので光沢のあるツヤ面が適していると書きました。
実際にどんな所が適してるか考えてみますと…。
ツヤがあって平滑なガラスや鏡、タイル面などはよくくっつきます。(スリガラスや凸凹のガラスはNG)
これもツヤ面が必須ではありますが、樹脂素材面もOKです。
オフィスなどにあるスチール什器などは塗装をされてますが、これもツヤがある塗装面なら大丈夫です。
凸凹面でもごくごく浅いエンボス面であれば使える事もあります。
プリント合板などですと、クローゼットの扉や下駄箱なんかにも使えますし。
逆にツヤ面でもNGな場合があります。
フッ素や防汚コートなどの離型処理がされている面はNGです。
また、ピアノやアンティーク家具などはもしもの場合が大変なので避けた方がいいでしょう。

まとめ

以上の通り、吸着シートはその特性から弊社の樹脂ミラー素材とはとっても相性がいい商材です。
なかには20年以上の超ロングセラー商品もございます。
ただ、ミラーに限定してしまうとその可能性をかえって狭くしてしまいます。
お客様のアイデア次第でもっと様々なシーンでもお役立ちできる素材であると思います。
過去事例でもこんな面白い使われ方も。
それはマウスパットの裏面にこの吸着シートを採用したものでした。
主にターゲットはノートPCユーザー。
タッチパッドが使いにくい、苦手なのでノートPCでもマウスを使うお客様に。
使わない時はその吸着効果からノートPCのボディにペタっと。
マウスパッドとして使う場合は、ボディから剥がしてご利用頂く商品でした。
こんな風に、アイデア次第でもっと用途が広がる商材であると確信しております。
「こんなものに使えないか?」というアイデアをお持ちの方、是非ぜひお問合せお待ちしております。