検索・閲覧共に関心の高いアウトガス問題

唐突ですが皆さまはどのようなきっかけでこの記事をご覧いただいておりますでしょうか?
丁度2年程前に「アウトガスの恐ろしさと対策について」という記事をUPしました。
お陰様で、当Webサイトに新規でお越しいただく方の約半数はその記事を検索されてのケースになります。
検索ワードとしては「アウトガス」、もしくは「ガス浮き」になります。
アウトガスについての云々は、同じく前述の記事をご覧いただくとして、今回は新たな対策として有効な手段をご紹介したいと思います。

エアクープNEOという商材

現在、弊社で製造しているミラーとヘアラインについては、粘着塗工を依頼している日榮新化株式会社様の技術にて、樹脂から発せられるアウトガスを防いで数多くの実績を積んでおります。
しかし、その他のフィルムについてはその限りではありません。
実際、ホログラムの一部柄についてはキャストアクリル板に加工し、数ヶ月経過してからガス浮きが発覚した事例がありました。
ちなみに押出しアクリルでは問題ありません。
樹脂素材と言いましても種類があり、アウトガスの発生原因についても色々ございます。
お客様によっては、ミラー・ヘアライン以外にもアウトガスでお困りの相談をよくお寄せいただいておりました。
そこで、この度同じく日榮新化株式会社様の「エアクープNEO」という商材を使って解決を図る事にしました。

この商材は、透明のPETフィルムになります。
弊社のミラーやヘアラインに使用している粘着とよく似た効果、つまりアウトガスを抑える粘着が塗工されております。

メーカーによるエアクープNEOについてのWEBページはこちら

実証実験

では、実際にアウトガスに効果があるのか、確かめてみたいと思います。

メーカーの担当者に聞いたところ、ポリカーボネイトの板厚3.0㎜位に加工し、80℃で4~8時間ほど加熱すればガスを強制放出するとの事。

早速同条件で実証実験を行う事にした。

検体の条件

基材:住友ベークライト製ポリカエース3.0㎜厚透明のカット辺
エアクープNEO透明50F、この加工品を検体Aとする。
比較対象として、同じく日榮新化株式会社製のPETフィルム(一般強粘着)加工品を用意し、これを検体Bとする。

弊社所有の乾燥庫にて、庫内温度80℃にて4時間加熱をする。

検証結果

4時間経過後、検体をそれぞれ取り出し目視で状態を確認。

写真の通り、検体AとBでは一目瞭然、アウトガスの有無がきっぱり分かれました。
より分かりやすく写真に収める為、背景を黒にしてみました。
検体Bですが、無数の気泡が発生し、膨れ上がってます。
これが完全にアウトガスの影響を受けている様子です。
片や、エアクープNEOを加工した検体Aは全く問題ありません。
これでエアクープNEOを加工すれば、芯材樹脂板のアウトガスを防ぐ事ができるとお判りいただけるかと思います。

注意喚起の意味で激しくガス浮きした様子を拡大しておきます。

利用方法

弊社では、このフィルムをアウトガスを出す素材として一般的なポリカーボネイトとアクリルを中心にアンダーフィルムとして活用する方法をご提案いたします。
アンダーと書きましたが、読んで字のごとしです。
ポリカやアクリルに、前工程としてエアクープNEOを貼り合わせます。
そうするとその上からアウトガス対策がない粘着フィルムをオーバーラミできる訳なんです。

この対策のメリット

ズバリ、これまでガス浮きで施工できなかった粘着フィルムがポリカやアクリルに加工できる事です。
これだと小ロットで多種多様なフィルムも加工できます。
写真の通り、透明のフィルムなのでさらにその上から透明のフィルムでも加工できます。
但し、フィルムの2重貼りなので透明度は若干落ちると思います。

加工の条件

板厚3.0㎜で3×6板(約915×1,830㎜の定尺板)が対応可能なMAXです。
一応3.0㎜以上でも5.0㎜厚まで検討はしますが、ガス浮き対策の検証は3.0㎜までなのでそれ以上の厚みについては現時点では保証の限りではありません。
厚みを増すと放出するガスの量も増えるからです。
オーバーラミのフィルムについては、当方で手配も致しますし、持ち込みも可です。
その場合、紙管は3インチで巾は1,000㎜までです。
それ以上は機械にセット出来ないのでご注意を。

詳しくはお問合せ願います。