はじめに

今日は、私たちが製造のお手伝いをした「首からぶら下げるミラー」のお話を紹介します。
話のきっかけは地域の製造業仲間でもある株式会社山岡金型製作所の山岡社長からの御依頼でした。
詳しく触れていく前に、まずは山岡金型製作所様のご紹介から。
山岡金型製作所は、長年めがねの金型(めがねの形をつくるための金属の型)を作ってきた会社です。技術力が高く、さまざまなプラスチック製品も手がけています。
そんな山岡金型製作所が立ち上げたブランドが、molmena(モルメナ)
molmenaは「ものづくりの楽しさを届けたい」という思いから、樹脂製サングラスやインテリア雑貨を作っているブランドです。
ちなみにmolmenaという名前は、スペイン語で「蜂の巣(colmena)」と「型(mold)」を掛け合わせた造語だそうです。
詳しくはこちらから。

万博酒場と「人間響命祭(にんげんきょうめいさい)」

そんな山岡社長は万博酒場というグループに所属されておりまして。
このグループは関西万博を盛り上げようと、さまざまなお店や企業が集まり、一緒に活動しているそうです。
そして、この万博酒場が去る5月15日に関西万博会場にて主催したのが「人間響命祭(にんげんきょうめいさい)」というイベント。
音楽やアート、そして物販(お店の人が商品を売るコーナー)もある楽しいお祭りだったようです。
山岡社長はここで、自社で製造したサングラスを販売する物販を行う事になったようです。

練り歩きスタイルの販売方法

山岡社長が担当された物販は、テントやテーブルを並べて商品を売る“ブース式”ではなく、出店者さんが自分の商品を持ってお客さんの近くまで歩いて行き、直接声をかけて販売する“練り歩きスタイル”でした。
この販売方法は、自ら動くのでお客さんとの距離が近くてコミュニケーションも弾むように思えます。
ただ、ここで問題が出てきました。
サングラスを売るには、普通なら什器(ディスプレイ台)に鏡を置いて、お客さんが「似合うかな?」と確認できるようにしますよね。
ところが、練り歩きスタイルでは什器を置くことができません。
サングラスの試着用の鏡がないのです。

山岡社長のアイデア「首からぶら下げるミラー」

この課題を解決するために生まれたのが、首からぶら下げるミラーです。
これは、立ったままでも両手がふさがる事なく接客可能な上、お客様がサングラスをかけた姿を自分でチェックできるようにするためのアイデアでした。
実はこの「首からぶら下げるミラー」の発想は、すべて山岡金型製作所の山岡社長のアイデアです。
しかも、サングラスを見やすくディスプレイするため、ミラーにはサングラスの柄(耳にかける部分)を差し込める穴も設計されていました。
お客さんにとっても接客する側にとっても、とても便利なミラーなアイデアではないでしょうか?

樹脂ミラー+レーザー加工で実現

でも、普通の鏡はガラス製で重くて割れると危険ですし、首から下げるにはとても不向きです。
ここでようやく登場したのが樹脂ミラーです。
樹脂ミラーは軽くて割れにくく、安全に使えるのが特長です。
弊社は、この樹脂ミラーの製造と加工を得意としております。
もともと地域の製造業仲間として、山岡金型製作所さんともお互いの仕事をよく知っていました。
そんなご縁から「今回のミラー、お願いできますか?」と直接依頼をいただきました。

製造の工程では、首から下げるための形状をきれいにカットしたり、サングラスの柄を差し込むための穴を開けたりする必要がありました。
ただ、イベントで使うほぼ1点ものの為にあまりコストもかけてられません。
そこで加工の自由度が高いレーザー加工で製造する事になります。
レーザーなので、基材樹脂はアクリル一択になります。
ただ、一般的にアクリル樹脂はどちらかというと割れやすくもあります。
特にアクリルメーカー製の背面鏡はアクリル板そのものなので。
但し、弊社のフィルム加工式は万一アクリル部位が割れてもフィルムが飛散防止になるのでまず安心・安全な構造となってます。
今回、MP-HC(ハードコートミラーフィルム)に2.0㎜厚の押出アクリルの構成でレーザー加工をして山岡社長の図面通りに仕上げました。

 

外径・吊り下げひもを通す穴・サングラスを差す穴、これをレーザーで加工し鏡面性もこの通りです。

実現した関西万博への小さな関わり

今回山岡社長のご依頼で製造したこのミラーですが、当日の様子を写真で送ってくれて快く公開の許可を下さりました。

被写体は勿論山岡社長です。
正に打ち合わせで伺ったイメージそのままですね。
今回の関西万博ですが、地元大阪で開催されるとあって何かで関わる事はできないものかと色々提案したり客先とのコラボも模索してきました。
ただ、残念ながら力及ばず直接的に関与できた実績は今のところありませんでした。(間接的にはわかりませんが。)
今回、山岡社長の手によって確実に弊社で加工したミラーが万博の地に降り立ったのは間違いありません。
小さな関わりかもしれませんが、念願が叶ったので山岡社長には感謝しかありません。
有難うございました。