はじめに

弊社で加工しているミラーフィルムには、ハードコート処理をして傷つきにくくするMP-HCという商材があります。

コーティングを施す事によって少しでも傷を防ぎ、より長くご利用頂く事を目的としております。

ただ、フィルム状の樹脂に対するコーティングなのでそれほど堅牢なものでは正直ありません。

傷つきにくいというレベルです。

未処理のPETフィルム、これの表面硬度をJIS規格である鉛筆硬度で表すとHBという数値になります。

これが弊社のMP-HCの場合、Hという数値になります。(大阪市工業研究所にて実測)

数値上では2段階しか変わりませんが、この2段階が数値以上に差となる場合もございます。

今回、とある商品の試作工程にて社外仕入品のPCミラー(ポリカーボネイトミラー)との比較検証を行いました。

このPCミラーですが、未処理のグレードなので表面硬度は鉛筆硬度で2Bとなっております。

鉛筆硬度HのMP-HCと2BのPCミラー、これだと4段階の数値の開きがあるので、より顕著な結果になるかと思われます。

少々極端ではありますが、今回はこの2種類での擦過性、要は傷の入り具合を比較検証したいと思います。

検証方法

今回はとある用途向けに樹脂ミラーをキャラクターのシルエット状に打ち抜いたものの検証でした。

スマートフォンケースやシステム手帳など、身の回りでよく利用するものに貼り付けて使うので、特に日常利用での傷の入り具合を見る必要があります。

とうい訳で、手っ取り早くスマートフォンケースに並べて貼り付けてみました。

スマートフォンなので、当然ポケットの出し入れも頻繁にあります。

この状態で実際に2週間使い、その違いを検証してみたいと思います。

検証結果

論より証拠、実際に2週間経過した写真をご覧ください。

PCミラーに関しては細かい擦り傷が無数に入っております。

2週間とまだ日が浅いので、傷は気になってもかろうじてミラーとしては使えます。

ただ、この傷がどんどん増えて曇りとなると徐々にミラーとしての機能は失われます。

かたや、弊社規格のMP-HC、ごく小さな傷はありますがPCと比べるとほとんど傷は気にならず綺麗な反射を保っております。

誤解なきよう付け加えておきますが、傷が入らないのではなく入りにくいです。

もっと長期にわたりご利用いただくと微細な傷は、やはり多く入ると思います。

しかし、それでも未処理のものと比べると傷ははいりにくいので、より長くお使い頂けるのがお分かり頂けるかと思います。

おわりに

フィルムの性質上、設計限界としての表面硬度は鉛筆硬度であらわすと2Hになります。

弊社のMP-HCも当初の設定では2Hを目指してました。

ただ、粘着で貼ると粘着層がクッションとなり鉛筆硬度の測定方法では少し数値が下がります。

他の素材だと、汎用プラスチックにおいて一般的なアクリル樹脂は4Hの表面硬度があります。

MP-HCの実に3段階上の数値です。

ただ、傷の入り具合、いわゆる擦過性についての評価は鉛筆硬度の結果とは全然違ってくる場合もあります。

単純に、4Hある未処理アクリルにMP-HCを貼ると鉛筆硬度はHに落ちてしまいます。

しかし、弊社のお客様のあるアクリル加工業者様からは、むき出しのアクリルより弊社のMP-HCを加工したアクリルの方が擦り傷が入り難いという評価を実際に頂いております。

このあたりは鉛筆硬度では測りにくい擦過性の評価とも言えます。

今回のように、ポケットやカバンなどから頻繁に出し入れする使い方だとMP-HCでもいずれは傷だらけにはなると思います。

ただ、未処理のものと比べても、より長持ちはします。

欠点を申しますと少し指紋が目立ちやすい傾向があります。

ただ、これも中性洗剤を使って布拭をする事によって解決します。

そもそも布拭のメンテナンスで傷が入らないようにとのコーティングでもありますので。