こんにちは。
先日この場で告知しましたが、10月11日(水)から10月21日(土)まで大阪は箕面市で開催されていました箕面の森アートウォーク2017という野外アートイベントを見に行ってきました。
出展作家の木村奈央様の作品「Lost」の素材に弊社のPET樹脂ミラーをご採用頂いたんです。
期間中唯一の日曜日である10月15日に家族を引き連れ現地へ行って参りました。
今回は作品の様子など交え、弊社のミラー素材が作家様の手によってどのような作品になったかご覧いただければと思います。
作品のコンセプトなど、一通り写真をご覧いただいた上で説明しようかと思いますので、まずはご覧下さい。

箕面の滝へ通じる滝道、丁度ちゅうふくあたりにひっそりとたたずむ「琴の家」。
かつて料理旅館としてかの野口英世博士がアメリカ留学から帰国の際にこの建物で歓迎会が開かれたそうです。
今回のこの作品、まずは川の対岸から、このようなロケーションで鑑賞するのが基本だそうです。

期間中、残念な事にほとんどの日程、雨が降り続けておりました。
僕たちが訪れた15日も朝から冷たい雨。
しかし滝川の谷合いにあるこのロケーション、雨も風情がありとても癒される感じがしました。
この15日、実は特別に建物側の中庭に入る事が出来ました。
より「作品」に近づく事ができます。
それでは続きをどうぞ。

告知にも記載しておりましたが、木村さんの作品のテーマは「蝶」なんです。
この蝶の造形、専門的に見ればとても高度な事をされております。
正直技術的に弊社では叶いませんでした。
そこを諦めず対応可能な協力先を探され、今回の作品に仕上がったそうです。
弊社としてはミラーシートの素材のみのお手伝い。
少し力不足を感じた事は否めませんでした。
イメージを具現化される為に一切の妥協されないその姿、正にプロフェッショナルでした。
さて、作品の概要についてです。
タイトルが「Lost」とあります。
色んな意味合が込められてました。
Lost=失う。
この琴の家という建物もそう。
長い年月を経て旅館としての役割は「失って」います。
冒頭の建物全景が見渡せるロケーションでは、建物を囲うような雲のようなそんな印象を受けます。
これ、中庭に渡って間近で鑑賞して初めて一つ一つが蝶の形をしている事が分かるんですね。
逆に言えば、蝶としての一つ一つの形、これが距離を取る事によって失われる訳です。
また、数えきれないほど沢山の「蝶」に紛れてその個の姿も失われる。
つまりLostなんですね。
それでいて作品としての完成形は建物や現場の風景を含めた冒頭写真のロケーションからの鑑賞なんです。
中庭に立ち入れるこの日だからこそ体験できましたが、鑑賞順の妙まで計算されているとしたら本当にすごいです。
感性だけではないなと思います。
当日、琴の家にて木村奈央様ご本人に説明を受けましてその世界観の深みに驚嘆いたしました。
これまでにも度々、アート作品のお手伝いをしてきましたが、今回ほど作品の世界観の深さや作品作りに対する姿勢に刺激を受けた事は有りません。
非常にいい経験をさせて頂きました。
また、あまりここでは詳しく説明しませんが、商業的にものづくりをする僕たちとはまったく違うアプローチで作品作りに挑まれている様に驚きの連続でもありました。
商業的には不良判定となるような偶然の不具合。
そこに芸術的なひらめきを感じ取り、逆にどうすればその不具合を起こせるのか。
こんな事、当たり前ですが商業上では絶対考えません。
それに素材の事を熟知している僕たちなら絶対行わないような加工方まで。
もう本当に驚きの連続でした。
そして大変大切な事を学ばせて頂きました。
非常に有難いご縁となり、ただただ感謝しております。
惜しむらくは期間中ずっと雨に降られた事です。
ミラーの蝶、水滴を乱反射してそれはそれでとても神秘的で美しかったです。
でももう少し紅葉が進み秋晴れの光を反射した様も見たかったなぁと思いました。